日本語の訳詩を見ると、この 「モッキン・バード・ヒル」 は、古ぼけた鞄一つ持って、心には希望の灯を灯しながら、町から町へと行くしがないセールスマンです。 夜は安宿に泊まり、見る夢は故郷のモッキン・バード・ヒルでの楽しい思い出、鳥は鳴き美しい花々に囲まれた故郷に早く帰りたいと願っている様子を思い浮かべています。 僕はモッキン・バード・ヒルの歌の主人公は、アメリカの西部劇に出ていたビンに入った茶色い液体を万能薬と称して、馬車の台の上から大声で売っているセールスマンを想像していました。 しかし原詩は想像とは大きく違いました。 「歌ごえはこころの旅」 に出て、その歌の誕生や背景、作者の心境などが少しでもわかれば、その歌への思いが歌唱に伝わるのではと思って世界各地を訪ねてきました。 時には、外国曲の原詩と訳詩とがあまりにも違うことに遭遇すると、本当のことを書いてみなさんに戸惑いや失望感を持たれないかとか、本当のことを書いて良いのか迷ってしまうことがありますが、出来る限り本当のことを書くようにしてきました。 これからもそうして行きたいと思っていますので、どうかお付き合いをお願い致します。
さて、この歌の原題は 『 TO kill a Mockihgbird 』 ものまね鳥 原詩を紹介します 《 Tla−la-la twiddly - dll - dll it gives me a thrill To make up in the mornig to the mockingbird"s trill tra - la - la, twiddly - dll - dll There"s peace and goodwill you"re welcomes The flowers on MockinBird Hill ・・・ 》 トララ トリリ と鳴き真似をするツグミのトリル その鳴き声が 私の朝の目覚めの合図なの 真似声をしてこの平和な モッキン・バード・ヒルの丘の花をつんで 私に持ってきてくれる ・・・ と 幸せな娘の朝のひと時を歌っています。 アメリカではパティー・ページが、うら若い娘の幸せな朝の目覚めを歌って大ヒットした曲でありましたが、訳詩をした山上路夫さんのこの曲へのイメージは全く違っていました。 町から町へ旅する侘しいセールスマンを描いたのです。 《 古ぼけたカバン ひとつで 町から町を 歩くよ ポケットも腹もからっぽ 夢だきゃたっぷり もってるぜ トゥラララ トゥイットル ディディと心に いつも聞こえる あの調べよ トゥラララ トゥィットルディディ 忘れない ふるさとの丘よ モッキン・バード・ヒル 》 僕はこの詩のほうが好きですね、 実にこのメロディーにあっていると思います。 日本でもそうですが、セールス・営業の仕事はきついし切ないですね。 大島