「歌ごえはこころの旅」の最後の歌は韓国のフォークソングの第一人者「キム・ミンギ」さんが作られた国民的歌曲「朝露」原題は「アチムミスル」とにかく韓国では誰一人知らない人はいないといわれるほど人気のある歌であります。
この歌を作詞・作曲された「キム・ミンギ」さんは1951年医師を父に韓国全羅南道の益山に10人兄弟の末っ子として生まれていますが、彼がまだ母親のお腹の中に居る時、父親は人民軍に殺され、助産婦をされていたお母さんは大変なご苦労をされて育てられたそうです。
彼が高校生の頃、姉に貰ったギターを手にしたことが歌作りの始まりでした、19歳の時知り合った歌手の「ヤン・ヒウン」さんのために作った歌の一つがこの「朝露」であります。
この「朝露」は、韓国だけでなく北朝鮮でも歌われていました歌詞には政治的・思想的な表現は全くありませんが、韓国では民衆がデモや集会でこの「朝露」の大合唱をするため、1970年「パク・チョンヒ」軍事政権は歌うこと放送することを全面的に禁止してしまいました。
それから17年、1987年に解禁され民主化運動など抵抗する民衆の歌として蘇り韓国各地で歌われ、前の韓国大統領「ノ・テウ」さんまで歌うというまさに韓国の人々にとってこの歌は民主主義の象徴の歌となったのです。
『 ながい夜をあかし 草葉に宿る 真珠より美しい 朝露のように 心に悲しみがみのるとき 朝の丘に立ち ほほえみを学ぶ 陽は墓地の上に 赤く昇り 真昼の暑さは 私の試練か 私は行く 荒れ果てた荒野へ 悲しみふりすて 私は行く 』 哀愁のただよう曲調ですが誇り高く力強い曲調が韓国の民衆に迎え入れられたのでしょう。
私たちはあまり歌いませんでしたが、1月の23日(日)の歌ごえサロンin昭和町で紹介したいと思っています。
さて、「歌の旅」は、この歌はあの歌はどうして作られたのか、どういう時代だったのか、作者は何を思っていたのか、なにを伝えたいのかそれらを訪ねる14ヶ月に及ぶ旅でありました。
図書館に通い本を買い求め調べていく中で作品に対する作者の思い入れを強く感じることが出来ました。その思いをみなさまに伝えるべくつたない文章を書いてきましたが、みなさまにその思いが少しでも伝えることができたでしょうか、もし少しでもその思いが伝わっていればとても嬉しいことであります。
終わりに美しく素晴らしい詩や曲を作られた多くの作者のみなさんと、これまでお付き合い下さった歌の仲間のみなさまに感謝の気持ちを贈りたいと思います。
ありがとうございました。 大島